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2010 05,19 00:16 |
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※捏造・妄想注意※
本編より7年後設定で。 菜々子+足立視点 『watch TV』 「足立さんの事が知りたい。」 「この先もずっと」と、語尾は弱々しくも、強い意志を伴う。彼女は凛々しい声で言った。 在り来たりな台詞だ。テレビみたいに。 意味なんかあっちゃならない。最も望んじゃならない事なのだ。 この堂島家を訪れた当初に「ななこね、あだちさんの事、知りたいよ。」とまだ幼い彼女にたどたどしく言われた様な。過去の記憶を探るけど、僕の脳の引き出しからはすんなり出てこない。きっと言われていない。仮に言われていても、あの頃の自分は容易に頭の隅っこに追いやることだろうけど。 「食べないの?冷めちゃうよ?せっかく用意したのに。あ、もしかして嫌いなものあった?」 「ううん……ないよ。全部食べれるやつ。」 「じゃあ、遠慮無く食べてよ。今日うまく出来たんだ。まあ、見た目不格好だけどさ。」 慣れない調理もいくらかはマシにこなせる様になった。一般的にはまずくないそこそこの出来栄えだ。リモコンを取り、電源を押してテレビを付けた。アナウンサーが刻々と夜のニュースを読み上げていた。 それ以降は沈黙に支配され、テレビの音だけ居間に響く。 いつも菜々子ちゃんは学校のことから友達のこと、堂島さんのことを話すのに、今日はだんまりだ。 夕飯も食べないつもりだろうか?気にせず僕は「いただきます」と言って食べ始める。つられたのか菜々子ちゃんも慌てて、「いただきます」と箸を持った。 「さっきの事だけど……僕のことを知る必要はないよ。」 「私に知られるの、足立さんは嫌?」 「ううーん……嫌とは違うよ。何て言えば良いかな……知らなくても君の生活に支障ないし。現にこうして成り立ってる訳だしさ。」 これ以上堂島さん一家に深く入り込みたくない、彼らの生活を邪魔したくない。というか、僕が嫌に苦しくなる。だから、僕は許して欲しくない。関わりたくないのが本音かもしれない。 本来この場に居てはいけない人間なのだ。 服役中、堂島さんと菜々子ちゃんは僕との同居を強く希望した。 面会で顔を合わす度にそう持ち掛けられたが、かたくなに断り続けていた。結局は、やっと就いた仕事場が近いだろうと理由で押し切られたのだが。 「それに、君には――」 凛と澄んだ瞳が思い出した様に揺らいだ。構わず眉間を寄せて険しい顔する。出来れば憎んで嫌ってくれと、ばかりに。 「酷い事をしたからね、僕。」 「関係ないです。」 夕飯を食べ終えた菜々子ちゃんは僕の言葉を否定した。そして、テレビから聞こえていたニュースの音声は耳に全く入ってこなくなる。 「関係ない?全部許してやるって事?菜々子ちゃん……お人好し過ぎるのも大概にしなよ。」 「違うよ。……足立さんのした事、全部許せる程、私は偉い訳でも綺麗な訳でもないけど……うまく言えない、けど。ここに足立さんが居なくていい、知らなくていいって事じゃないの。」 「どうして?償いきれない程酷いコトしたよ。」 「私には足立さんが居ないと意味がないんだよ。私の幸せは、お父さんとお母さん……お兄ちゃん、足立さんも皆必要だから。」 夜のニュースが終わり、CMに入った。 「……昔より我が儘になったね。」 「ううん、昔から我が儘だもの。ただそうしたらお父さん達を困らせちゃうって知ってただけで。」 「私、足立さんと居たい。」 彼女が大好きなジュネスのCMが陽気に流れる。その間に柔らかな雰囲気が僕へと近付いた。目の前にすとんと座る気配。 二人きりでテレビを見る時、決まって僕の膝に寄り掛かる小さな背中。ここに住むようになった頃から了承を取らない暗黙の行動。 それが、彼女にとって精一杯の甘えと我が儘なんだと10年経った今、僕は知った。 ---------------------------------------- まだ親戚の叔父さんと姪っ子みたいな関係の二人。 PR |
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