ティア＋ノエルの会話

「ティアさん。どうかされたんですか？」

「ごめんなさい。他の皆も起こしたかしら？」

「皆さんぐっすり寝てます。」

「そう、良かった。……けど、ノエルだけ起こしちゃったわね。」

「綺麗な譜歌ですね。」

「有難う。何だか落ち着かなくて……こんな真夜中に歌うだなんて自分でもおかしいと思うわ。」

「何か心配事ですか？」

「そうね……そういうものなのかもしれないわ。」


「はい、心配で仕方ないのが本心ですが…兄の腕はパイロットとして一流です。だから信じてます。」

「信じる……」

「もしも兄と戦う判断を迫られたとしても……私には出来ません。」

「私も最初から決心出来た訳じゃないわ。ルーク達が居たから」

「その一方で、兄に置いて行かれると思ったのかもしれません。私は追いつこうと飛行について必死に学びました。」

「素敵ね。」

「……ありがとうございます。」

「貴方が飛ぼうとしていたのはお兄さんが居る空だったのね。」


お兄さん……どうか無事で

世界で唯一の家族である兄ーギンジは今どこに居るのか。会いたいと願う瞳に空を映してみる。その行方は浮かぶ雲たちだけが知っているのだろうか。彼女に分かるのは青く澄み渡る果てのない空を兄が飛び続けて居ることだけだった。

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