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2010 05,18 17:24 |
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アーニャ+ジノの出会い捏造 鮮やかに滲む邂逅 ブリタニア皇帝直属の騎士団ナイトオブラウンズの宿舎は、選ばれた12人が生活する為作られた特別な場所である。その他、身の回りの世話を受け持つメイド達や警備、ナイトメアの整備士なども配属されていたが、外部から入れるのはほんの僅かな人間だけだった。一般住民が近寄れるエリアでないこともあり、その威厳あるたたずまいが周囲を近寄らせない雰囲気を醸し出していた。 宿舎と言っても、その敷地は一つの城があるのではないかと思われる広さで、きらびやかな装飾を施された内装は貴族趣味を沸騰させる作りだった。 そこへある決意を抱いて、一人の少女、アーニャ・アールストレイムはある部屋に待機していた。待ち合い室として用意された部屋に通されたのだが、落ち着かない内装にうんざりと溜め息をつく。 ――悪趣味 自分が住んでいる屋敷もそれなりに ここで朝から晩まで過ごすのだろうか。間違いなく自分なら願い下げだ。アーニャは仕方なく部屋の窓の外を見つめることにした。 「……庭。」 ふと、手入れされた庭園がアーニャの目に入った。綺麗な花達が咲き乱れているのにも関わらず、観賞する人間の姿は一人も見当たらない。ここにいるだれもが貴族出身というなら、人が居ても良さそうなのだが、ここは騎士という戦いに身を投じるもの達が集められた場所。花を愛でる余裕すら惜しいのかもしれない。もしくは任務に追われてここにいる時間はあまりないのかもしれないとアーニャは部屋を出た。開始時間はここまで案内した人間から告げられたので、それまでに戻ってくれば問題はないだろうと廊下を歩く。アーニャはどうにも騒がしい心を落ちつかせる為に庭園へと赴いた。 「や!」 「……。」 「何してるんだい、お嬢さん?」 「……誰?」 辿り着いた庭園は狙い通り、静寂と花の香りに包まれ安堵をもたらす憩いの空間だった。ただアーニャの予想を外れたのは、他の人間がいたことだ。庭園に着くなり声をかけられた。にこやかに話しかけてきた青年は金髪に碧い目で綺麗なみなりをしていて、まさに「貴族のおぼっちゃん」といったたたずまいをしていた。しかし、ここは騎士となるものが来るところだ。戦いとは程遠い優しげな青年が来るに相応しいところではないだろう。ただ知らない人間なのは確信が持てた。人見知りが激しいアーニャはすぐにそっぽを向く。 「ははは!お互いに面識がないのは確かだよ。お嬢さんはこんなところで何を?まさか……ここに忍び込んだ訳じゃないだろう?」 大きな朗らかな声で青年が答えた。誰か好き好んでこんな敷地に忍び込むというのだろうか。 「暇潰し。……集合時間まで。」 「なるほど!それでは、同じだ。」 「同じ?」 「今日の試合に私も参加するからね。」 「……貴方も、ラウンズなの?」 「ああ。偶然にも顔合わせする前にメンバー候補の一人と会うとは思わなかったけどね。」 「ところで君はいくつだい?見たところ、私より四つか三つ下か?」 「……十五。」 「私よりふたつ下か……その年でラウンズに志願したとはね。そりゃあすごいな!」 「別に…………あなたも同じくらい。すごいことじゃない。」 「いや、その決意は称讃に値するものだよ。もっと誇りに思いたまえ。」 「会ったばかりのわたしのこと知らないのに?貴方って、何?昔会った人?」 「あ~……それは。」 「なぜ?」 「悪い悪い、違うんだ。初対面にしては慣れなれしくしすぎたようだ。」 「構わない。変な気遣いなら……いらない。」 「助かるよ。あまり私は貴族とはいえ、畏まった言葉遣いは苦手なんだ。だから、つい今みたいにくだけた話し方になってしまって。」 「貴方はわたしより年上………始めから畏まる必要がないのに。」 「そうか、有難う!」 「さて!今更だけど、君の名前を聞いてなかった。」 「……もう時間。」 「え。待ってくれよ、答えないでどこに――」 「名前……わたしに勝てたら教えてあげる。今日の試合で。」 「ホント?」 「嘘をついてるとでも?」 「いいや。それは楽しみだな!」 「わたし、もう行くから。……お先に。」 「じゃあまた後で、お嬢さん。」 「あ!そうそう――言い忘れてたよ。」 「……なに?」 「ジノ!私の名前はジノ・ヴァインベルグ。覚えておいてくれよな。」 「わたしより強かったら……ちゃんと覚えておく。」 「ははっ!なら、本気で戦わないといけないな。私と戦うまで君が勝ち残ることを祈ってる。」 「貴方も手加減しないで……わたしは誰にも負けるつもりなんて、ないから。」 「ああ、約束する!」 相手に約束するまでもなく当たり前の話だ。それこそ、年齢、容姿、力で手加減されるのなんてこの上ない侮辱だ。アーニャを見下し、その結果無様な格好をさらす連中なんて、過去に幾らでもいた。 アーニャはその日の試合で、先ほど出会った男が秘めた強さを目の当たりにする事になる。鋭く光った刃がましてや自分を打ち負かすとは今はまだ知らずに。彼女は颯爽と庭園を後にした。 PR |
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