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2010 05,18 17:11 |
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アーニャがジノを怒らせた話 「ナナリー」 「その声は……アーニャさん。どうかしましたか?」 「怒らせた。……初めて。どうしたらいい?」 「えっ、どなたをですか?」 「…………ジノ。」 「あのジノさんが、怒るなんて珍しいですね。」 「どうして、怒ったか……何も、わからなくて。考えてもぐるぐるするの。」 ---------------------------------------------- ゴウンゴウンという機械音だけが二人の間に横たわっていた。低く長く。 「……。」 「それじゃ。」 短い別れの言葉に黙ったままこくりと頷くと、アーニャもジノに続き、エレベーターから降りた。かつんと響く足音がまるで終わりを告げる鐘の音のようで、自然と足取りは重くなる。言わなくちゃ駄目だ。アーニャは決心するように足を止めた。 「待って。」 「…………何だよ?」 やや遅れて面倒くさそうな返事。どんな人間からの冷ややかな目線も気に留めたこともなかったアーニャでも、こればかりは堪えた。ジノの冷めた眼は何よりいたたまれない思いにさせる。 いたい。 つめたい。 こわい。 わたしを否定する光。 青色の氷のよう。 アーニャは立ちすくんだ。一方のジノは何も言わず、ただアーニャの言葉を待っている。何か言わなくちゃ。この先仕事をするにしても、彼との仲返しがつかない事になるだろう。アーニャは己を奮い立たせ、ある物をポケットから探り出した。 「これ。」 「ん?携帯じゃないか……なんで俺に。」 ジノが受け取った赤い四角い箱は、まごうなきアーニャが大事にしている携帯だ。訝しげに彼はそれと交互にアーニャを見た。 「……怒らせた、から。」 「え?」 「わたしの大事なものあげる。謝るだけじゃ駄目、だと思った。だから、ジノが壊すなり捨てるなり、気が済む様好きにしていい。」 「あー……嘘だろ?そんな手には。」 「本気。」 「……マジかよ。」 「それじゃ、もう許してもらえないかもしれない……けど。ごめんなさい。」 「……。」 「ごめん…なさい。どうしたら、ジノはわたしを許してくれる?」 「ばかやろ。」 「ば……か?」 「ほらっ、返す。」 「嫌……許してもらえないならいらない…!」 「おい、ちゃんと受け取れよ!」 「……や。」 「返すから。」 「なんで?」 「あのさ……出来る訳ないだろ!よりによってすごい大事にしてるのを引き合いに出したりするか!?」 「だって。すごく怒ってた。わたしにいつも話しかけるジノと違った。どうしたらいいか……わかんなくなった。」 「……ごめん、アーニャ。」 「ううん、私もごめんなさい。」 「俺さ、すごく悪い事したよな。」 「わたし……すごい気にしてた。」 「ははは、そりゃ見たらわかる。」 「けど、もういい。」 「俺こそ許してくれるか?アーニャ。」 「……ゆるさない。」 「ゆるせないのかよ。今度は俺が泣きたくなったぞ。」 「許さないから。ぎゅっとして。」 「――って、そうくるの?」 「して。」 「はいはい。御安いご用で。」 「離したら……ジノのこと一生嫌いになる。」 ◎おまけにスザクとノネットの会話 「ああ……アーニャとジノか。ごくたまにああいう喧嘩をするのさ、あの二人。柩木卿は知らなかったのか?」 「知りませんでした……ジノは僕が怒っても諭す方で、アーニャは受け流すタイプと思っていたんです。」 「奴は、いつも陽気だろう?だから怒るとすごい威圧感があるみたいでな。キレたあいつは私らより怖いかもしれないね。」 「アーニャは別に慣れてそうでしたが……違うんですか?」 「いつもはそれが自分に向けられて無いって知ってるからだ。ただ懐いてるアーニャの奴からしたら、見た目しれっとはしてるが大ダメージさ。以前なんか耐え切れなくて、モニカや私に『どうしたら許してもらえるかわからない』って泣き付いてきたくらいだ。」 「……あのアーニャが珍しいですね。」 「内面は年頃の女と変わらないのさ。しかもずっと組んで長いからな、二人とも。アーニャの精神的不安定を支えてる元がジノの奴だから、余計に酷くなる。」 「たまーにかたくななとこが気に入らないみたいだよ。いや、可愛くて仕方ないというのか?それが行き過ぎて空回り。多分、今ごろ向こうも引けに引けなくて、必死に仲直りの方法がないかと躍起なってるかもな。あー、面白い。」 「面白いって……ノネットさん。あの、このままでは任務に支障が出ませんか?」 「――ったく、馬鹿真面目な奴だな。なら、一つアドバイスだ。二人から話を聞くのが一番早いとでも言っておこうか。」 「あ、はい!有難う御座います。」 PR |
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