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2010 05,19 00:12 |
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理緒+友近でP3Pネタバレ注意。
「アンタ最低の男だよ。ってかさ、ほんと同情も出来ないというか……とにかくサイテー。」
「へっ??」 「あの~……なんの話??いきなり二度も最低って酷くね?」 放課後、クラスメイトである結子が開口一番言ってきたのはそんな言葉だった。 間違っても後が怖い(ミヤ談)結子に酷い事を言った覚えはないから、恨まれる理由一つもねーんだけど?考えこんでいると更に罵り続けられた。 「付け加えると、女を見る目なさすぎも良いとこだよ。そんなんじゃ、きっとあのセンセにもフラれるのが関の山でしょ。」 「なっ……なんでオレが叶先生好きだって知ってんの!?」 「見ててバレバレだし。あんだけあからさまにしてても分かんないの、鈍いミヤとかぐらいだよ。」 「あー、溢れ出る愛が分かるなら、しょうがねーよな?脅かすなよー。誰かバラしてるかと思ったじゃん?」 「なあにが良かったんだか。それより、あんな女追いかけてるより……もっと理緒にちゃんとしなよ。勉強の時ばっかり頼ってさ。」 「おいおい、麗しい叶先生を僻むなよな。」 「はいはい妬んでませーん。」 「んん?……ちょい待ち。そこで何で理緒が出て来るワケよ?」 「さあ。まあ、華々しくフラれてきなよ。そん時はアタシやミヤとか伊織の皆で慰めてあげるかもね。」 「え……フラれるの決定!?絶対いけるでしょ、コレは。オレはやってみせるぜ!」 「どうでもいいけど……それだけだから。じゃあね。」 と言い残し、結子は廊下に待たせて居たのかミヤと去っていた。 数週間後、俺はその通り実にあっさりとフラれる。 最初から遊びだった。その後どうにも学校に行く気にもなれなくて、約一週間風邪と称してサボった。サボりといっても最初の三、四日は熱を出していたから、一応は嘘じゃない。欠席五日目には、さすがに心配したのかミヤや順平といったクラスメイト達がお見舞いに来た。理緒は部活があるからパスだって、と結子が耳打ちしてきたけど、特に寂しくはない。ここんとこ頻繁には話さなくなっていたのもあったからか、さして気にしなかった。 ただ帰り際に結子から言われた爆弾発言。以前理緒に呼び出されたのは、オレに告るためだったと。 ガツンと頭を酷く打ちつけられた気分だった。どれだけ傷つけたのか、あの頃の自分は理解しようとしなかった。幼馴染としても都合の良い風にしか扱わなかった。なんとも言えない自分に嫌気が刺す。 ――ほんとさいてーだよ、オレ。……男としても人としても。なさけねぇしかっこつかないし。 ずいぶんと朝から長い間布団に潜った。が、それでも以外と体は正直で。 ――腹減ったな……ちくしょーめ。 適当にカップラーメンを食して、居間でぼんやりテレビを観賞しているとインターフォンの音が鳴り響いた。 玄関の方から「久し振りじゃない」という姉ちゃんの声に続いて、「こんにちは」と誰かの小さな声が聞こえた。 出来たら一番聞きたくない声だった。 「健二~~!!理緒ちゃんが心配してお見舞い来てくれたわよ。顔ぐらい見せなさいよー!」 「あの、まだ具合が悪いなら……ノートだけ届けて帰りますから。」 「ありがとね。まったくさあ~……来てもらってるつーのに。悪いね、健二にしては珍しく塞ぎ込んでたみたいでさ。理緒ちゃんが来たら、元気になると思ったんだけど。」 「ねぇ~ちゃん?それ以上はよけーな話。……てか、その為にわざわざ理緒を呼んだワケ?」 「だって、アンタさ……ねぇ?」 「何がねぇ?なんだよ!良いから、もう下がってろよな。」 「はいはい。」 「理緒。悪い、ノート持ってきてくれたんだ?」 「うん、これ。」 「あ、うん。サンキュ。」 「どういたしまして。じゃあ、また明日の分は明日持って来るから。」 「ほっんとバカな弟の面倒みてくれて、有り難い。ほんと。ね、うちで良かったら上がっていっていきなよ~。」 「バカはよけーだろ。いい加減あっち行けよ、姉ちゃん!」 「えー?」 「……姉ちゃんが言うからっていうわけじゃねーけど、どうせなら上がってく?茶くらいは出すし。」 「良いよ、おばさんに悪いから。ノート届けて帰るつもりだったし。」 「んじゃさ……休んでた分、オレ勉強わかんねーから、ついでにご教授願いたいつーか……そういうワケなんだけど?」 「構わないけど……平気なの?」 「おーす、ばっちりヘーキよ。」 同級生より理緒は確かに大人っぽい部類に入る。男子をみてきゃーきゃー言ったりしないし、周りの女子とつるんで誰かの陰口をいうタイプでもない。結子の奴なんかミヤの面倒を見ているせいか既に母ちゃんっぽい。 ――あー、なんか緊張してきた。これ……おかしくね? 自分よりずっと年上の女の人が好きなはずなのに。幼馴染の理緒は間違ってもその範囲に入らない。精神的には女の子の方が男よりも大人だというのを差し引いても。それ以上に自覚し始めたらすごくまずい気がすんぞ……とてつもなく。 高校に入ってから理緒と二人っきりで部屋にいるのは初めてだ。物心付いた時には誰かしら間に母ちゃんとか結子やミヤ、順平がいた気がする。学校で話すとしても、それはテスト前にノートを借りるといった他愛ない会話しかここ最近はしなかった。 「友近?……なんか顔赤いよ?」 「んー、ああ。ダイジョウブだって。それよりここは何て書くんだっけ?」 「ここは、プリントと教科書をまとめた答えを書くんだよ。こうやって、ね?」 「やっぱりまだ具合悪いんだ……無理に勉強するの、もう止めた方が良いよ。」 「ほら、おとなしく寝てて。アタシもう帰るから。」 「理緒……オレさ」 「何?」 「明日学校行くから。……つかさ、この前からずっと心配掛けたり、メーワク掛けたりとか。」 「ってか……ゴメン。あと、調子乗ってバカして気持ち分かんなくて――とにかく、悪かったゴメン。」 「……何でそんなに謝るの?」 「なんで言われても……あの時、オレ告白されたの分かんなかったんだ。理緒はちっちぇ時から一緒に居たから、家族として好きなのは……マジだけどさ。」 「良いんだ。後悔してない……ちょっと、悲しいけど。友近の中で、家族みたいでラーメンと同じくらい好きなら、それで良いよ。」 「ちょっ……ラーメンは無し!お願い忘れて。忘れてください。」 「あははは。うん……ごめん。ちょっと言い過ぎたね。」 「……?」 「なー、理緒。ちょっと……聞いてもらえる?」 「なあに?」 「手。……ちょっと握っててくんね?オレ、決意鈍りそうだし。」 「…………うん。」 何年かかっても、今度はオレが気持ちを告げに行くから。大人の男になるまで待っててくんね? なあんて言うのには都合がよ過ぎるか。 PR |
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