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2008 07,07 22:26 |
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改めてマイナーばっかりです^▽^ 続きに バッカーノ!: エルマー+ニキ視点の小話 『煌めく儚き星の下で』 彼に対する私の解釈はこの一言に尽きる。 「……変」 「は?」 星が一際輝く綺麗な晩、私はその人と再会した。 空を埋め尽くすたくさんの星たちにとってはほんの些細な偶然な出来ごとだったに違いない。 彼は少し背が伸びていても変わらぬ表情を私に向けてきた。やっぱり見慣れない不自然な笑顔で。 たまたま出歩いていたところでこの人は私を見つけたのだという。そして今まで、「君はずいぶん綺麗になっちゃってたから、最初はわからなくてさ。ごめん、他人の空似かと思ったよ」と冗談を言うエルマーさんと、草木が生い茂る河原に座り込み他愛ない世間話をしていたのだ。 「変なのよ」 「ん~と、何が?」 「エルマーさんが」 「え、俺!?そう?まあ、無謀な意味ではよくおかしいって言われるけど。そんなに俺って変かい?」 首を懸命に捻って彼は聞き返す。否定してほしいかと思えばそうでなく、彼 は異質さを自覚していないようだった。膝に顎を付けたまま私は静かに答えを吐きだす。 「……多分、世の中からしたら随分。」 「へ~、ニキも軽口言う様になったんだ。驚いたなあー。じゃあ一緒に笑おうか!」 唐突に意味の分からないことを求められ、思わず目を瞬かせる。今の自分となっては慌てるほどではなく、最初はなんておかしい人なのと思ったのだけど。 「あー……やっぱり駄目かな?君は笑ってた方が可愛いのに。――どうにか笑ってくれない?」 頭を掻いてからエルマーさんは声のトーンを落した。知らない内に彼を落ち込ませてしまっていたのだろうか。崩れなかったはずの笑顔に陰りがほんの少し刺した風に見えた。謝ることも繕うことも出来ずに私はただ在るがままを述べた。 「……まだ駄目みたい。貴方はずっと変わらないのね」 「これでも色々さあったんだよねー。――で、今もまだ探してるのかい?君は。自分の死に場所。」 「ええ、一生を掛けても見つけたいの。それが私の夢だから。」 「……」 「そっか。それが君の自由であり、尚且つ幸せで笑顔なら良いんだ。俺は止めないよ。」 「貴方らしいね。そう言ってくれるって思ってた。」 「えっ、そんなに予想つきやすいの俺?」 「たまにね。」 「でも、俺は幸せじゃないから笑えないというニキでも良いよ。……うん、大好きだ。」 「…………え?」 「何だろうね?出会ってきた人達にそういうものがあるのは知ってたけど…… 俺自身はこんな気持ちは持たなかった。皆を笑顔にするなら個人の感情は邪魔だろうし。」 「……」 「不思議だよ、ずっとどんな人も笑顔しないと満足できないのになあ。」 「エルマーさん。」 「何だい?」 「貴方やっぱりおかしいよ――こんな私が好きだなんて。」 「おかしいかもしれない。けど、こう思っている俺も事実なんだよね。 ニキが愛しくて仕方無い。出来たら側に居る人間が俺でありたいんだ。 ――まあ、あくまで願いだけどさ!」 「……願い?」 「だから寿命が尽きる以外で君が居なくなるのは見過ごしたくないって思ってさ。 あ。これこそ人間のエゴになるのかな?」 「何言ってるの……私に分かる訳ないじゃない。」 「俺も分からなくなってきたなあ。これじゃあ、ニキが笑顔にならなくても良いって言ってるようなものだね。」 「じゃあ、分からないままで居て良いわ。出来たら……ずっと。」 「えっ?」 「忘れられたほうがまだ諦められるー―もう私達会えないよ、きっと。」 「いや……まだそうと決まった訳じゃないよ。もしかしたら後一度ぐらい会うかもしれない。何年か後は分からないけど。」 「こっち向いてくれる?」 「ニキ。君ちゃんと笑えてるよ」 「ほんとうに……?私、今なら笑えてる?」 確認も兼ねてその人に聞き返す。 「うん、れっきとした笑顔だ。良かった!君の綺麗な笑顔が見れて俺、今すごく幸せだよ。」 重ねた手のひらは熱く温かい。熱を伴って、絶え間なく変わっていく温度はひどく懐かしさを覚えた。 「…………へんな人」 なんて世界一おかしな人。他人の笑顔を目にして幸せなのだというこの人を私は求めていたようで。 ――私もおかしい、よね。 照れ隠しに心の中だけで呟く。視界が生温いもので歪んでよく見えない。私は潤んだ目を閉じた。 ただそう見えるだけで 実はいい人なのか 実は人間ではないのか 実は悪魔なのかも 私にはよく分からない。 それ以外形容する単語がこの世界に無いのも事実なのだけど。 ほんとうは貴方が何であっても、構わないのよ。 PR |
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